制度の良さを認識しあった外勤部学習会
全損保は6月10日(土)、外勤部学習会を開催しました。「私たちの働く制度の良さを認識し合おう」をテーマに開催された学習会では、浦上委員長から損保業界における外勤社員制度の意義と代理店制度との違いなどの提起と、代理店を営む元全損保組合員のAさんから代理店経営の実情の報告を受け、分散会で討論しました。
浦上委員長は「外勤・直販制度と代理店制度の違い」と題した提起で、保険を販売するという業務では外勤・直販制度と代理店制度に大きな違いはないと説明。しかし、外勤・直販制度は正社員として保険募集をおこなうのに対して、代理店は委託契約に基づいて募集業務をおこなうことから生じる基本的な違いを説明しました。外勤・直販制度の下で外勤社員は保険会社に雇用される労働者として保護されます。雇用契約の終了=解雇は整理解雇の4要件を満たす場合にのみ認められるなど厳しい制約があります。これに対して代理店は委託契約なので、労働者保護法制による制約を受けることなく契約解除されることもあります。外勤社員は賃金やそのほかの労働条件についても不合理な不利益変更は認められません。
さらに損保における外勤・直販制度での外勤社員は60歳、もしくは65歳まで正社員として雇用され、その後も嘱託雇用として70歳まで社員として働き続けることができます。以上のように浦上委員長は、現在の外勤・直販制度は労働運動でかちとってきた労働者保護法制と、その中で産業別労働組合として全損保がかちとってきた制度の上にあり、働く者の権利が守られている点を解説。また、全損保の外勤部の成り立ちそのものが、1960年代の損保業界における「合理化」と全損保に対する組織攻撃の中で「外勤社員制度を守るために」日動外勤支部が全損保に加盟したことが出発点にあると紹介しました。
損保経営者は外勤・直販制度をどう見ているのか。この点について浦上委員長は「正社員としての仕事へのロイヤリティの高さ」「会社政策を浸透させやすい」などを、経営にとっての利点としてとらえていると説明。同時に同じ保険料の保険契約を獲得するのに際しての募集費が、代理店と比べて外勤制度の方がかさむ点を経営が重視した場合には「経済合理性」の観点から問題視するとも指摘。その象徴的な事例として東京海上日動社の「外勤制度の廃止」攻撃を上げました。
東京海上日動社の外勤制度廃止攻撃と全損保のたたかいについては全損保のホームページ「日動外勤支部のたたかい」を参照。
損害保険との関わりで外勤制度をどう見るかという点について、浦上委員長は「何かあった時に最終的にだれが責任を取るのか。保険会社の正社員である外勤制度の場合は保険会社が責任を取ることになり、顧客から見た安心感が違ってくる」と指摘。保険会社が直接雇用する正社員による対面販売が「真の意味で顧客に『安心と安全』を提供する役割をはたし、損害保険の信頼向上にも大きく寄与してきた」と強調しました。
同時に、東京海上日動社の外勤制度廃止や富士火災社の資格維持基準の改悪などをあげ、経営側の制度廃止・改悪につながる動きに抗していくために全損保外勤部への結集を訴えました。
学習会では、この後法人代理店を経営しているAさんから代理店経営の実態の報告を受け、5班に分かれて分散会討論をおこないました。分散会終了後、全体会で各分散会からの報告があり、最後に田中外勤部長が「今日の学習会を通じて、外勤・直販制度の良さが確認されたと思う。この良い制度を守っていくためにも、労働組合の場は大事になっている。全損保外勤部は、同じ立場で集まれる場であり、これからも外勤部へ結集していこう」と会議のまとめをおこない、終了しました。
詳しくは全損保外勤部機関紙「あおぞら」No.2参照