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○全国学習交流会開催【全農協労連】

全農協労連2018年度全国学習交流集会

全農協労連2018年度全国学習交流集会


講演に学び分科会で深め合う

 10月13日~14日、全農協労連は東京で「2018年度全国学習交流会」を開催。全労連の伊藤圭一雇用・労働法制局長、駒沢大学の齊藤正教授から講演を受け本部からの問題提起、分科会での討論で問題意識を深めました。



安全な食糧生産を支え、働き甲斐ある職場を作っていこう

 学習交流会の冒頭、砂山委員長が主催者あいさつを行いました。砂山委員長はこの学習交流会で「一年間どんなたたかいに挑むか、どういう課題があるのか、これまでの闘いで前進してきたことや教訓を出し合い、学習を通じて皆さんの力にしていくことが目標です」と述べ、「あらゆる産業で企業の金もうけにつながる形にされようとしている。その中で、我々は農家組合員の営農と暮らしを守り、消費者に安全な食糧を供給する農業生産を支える仕事をし、我々自身の働き甲斐ある職場を作っていくことが求められている」と指摘。「講演に学び、分科会で討論を深めていただきたい」と呼びかけました。



働き方改革関連法成立 制度改悪を職場に入れさせない取り組みを

 引き続き全労連の伊藤雇用・労働法制局長が「働き方『改革』と職場でのたたかい」について講演しました。伊藤局長は、働き方改革関連法は不十分な審議で強行されたが全労連、全労協などが連携し問題点を追及した結果、労働者にとって前進といえる部分もあるとし、今後の取り組みの重要性を強調しました。裁量労働制拡大の提案は政府説明にデータのねつ造というべき部分が明らかになり、政府が謝罪をして撤回した。これは労働組合が専門家や行政内部の良識ある人たちとの連携で実現できたことと説明。また一定年収を超える労働者の労働時間管理を排除してしまう高度プロフェッショナル制度は成立してしまったが、一般の労働者の時間外労働に上限を設けたことは労働組合も要求してきたこと。1ヶ月の上限100時間とするなど、過労死の発生している長時間労働を許容する上限となってしまったのは問題だが、法律にはできなかったが「指針」に盛り込ませたものも多くあるとして活用を呼びかけました。時間外労働の上限を定める36協定は労使合意が前提で、協定がないのに時間外労働を命じると経営者は刑事罰を受ける。労働者側が合意を拒否できる点を武器として企業内に改悪を許さない取り組みも考えるべきと指摘しました。



「農業の成長産業化」は日本農業の強みを損なう

 齊藤教授は、ご自身が北海道の農家出身だとして、手作業での牛の搾乳やサイロ内作業など「つらかった農作業」の思い出を紹介。この間の資本主義経済の変化について、故宇沢弘文氏の「社会的共通資本」にも触れながら、人々の「『協働』の分断と孤立化」が深刻になっていることを、最近の学生の「仲間とつながることへの拒否傾向」など例を挙げて指摘。「協同組合の存立基盤の掘り崩し」が、1980年代以降の規制緩和から「小泉・竹中改革」、安倍政権による「アベノミクス」によって一貫して行われてきたことを明らかにしました。こうした政策に対抗するべき協同組合サイドの「立ち位置」について、1980年代末のバブル期に信金や信組自体が投機的経営に傾斜したことを、経営破たんした木津信用組合や安全・協和信用組合他の事例で説明。農協系に非常な負担を押し付けた住専(住宅金融専門会社)問題の処理にも、信金・信組などに同じ協同組合組織の金融機関に生じた問題と受け止める姿勢がなかったことを批判。現在進められている安倍政権の農協改革は、家族農業をすすめようとする「国連家族農業年」と対抗する方向であり、日米の金融・保険大手の狙いは農協マネー(JAバンク・JA共済)を取り込むことにあると警告しました。そして、政府や日米の金融資本に対抗していくための日本の農業の強みは、食の安全・安心、農地保全、里山保全など宇沢弘文氏の言う「制度資本」の担い手となる点にあり、この点を農協の「総合事業性」の根拠とするべきであると強調。現在進められている「農業の成長産業化」はこうした日本の農業の独自性・強みを損なうものとして徹底的に批判していくべきと訴えました。

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