新型コロナウイルス感染防止のための緊急事態宣言は解除されましたが、第2波、第3波の感染拡大を防ぐために集会などの自粛が求められています。労働組合は、感染拡大防止の対策を取りつつ、同時に要求実現のための活動に取り組んでいます。
全農協労連の機関紙「全農協労連」6月1日号は、そうした状況について「コロナ禍のもとでも、要求は切実さを増すばかり」とのべ「コロナ禍のもとで労働組合の役割を発揮」の見出しで、各地での取り組みを紹介しています。
集まり、意見を出し合うことの重要性を再認識
全農協労連和歌山県連労は2月から春闘方針の協議を重ね、①賃上げの獲得、②諸手当の改善、③労働条件の改善を目指して春闘をスタートさせました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で十分な協議、団体行動、学習会ができず、緊急事態宣言が出される中で、春闘の意識の高まりにも欠ける状況でした。県連労として春闘への意識を高めるために、支部長が中心となって組合員をまとめ、三つの条件獲得を目指して団体交渉を行いました。しかし、経営側の回答は経営状況が厳しく賃金と諸手当の増額はできないとの回答でした。組合は交渉が長引くことは得策ではないと判断し、諸手当の改善を交渉の軸とし、子育て支援として扶養手当が現状のままでは満足のいくものではないことを強く主張しました。その結果、要求額には満たないながら、増額を勝ち取ることができました。
愛媛県農協労組は、3月25日に春闘要求を提出し、4月27日までに2回の団体交渉を行いました。新型コロナウイルスの影響で分会や執行委員会での討議が十分にできず、団体交渉も通常通り開催しても大丈夫かという意見も出ました。交渉時間の短縮、マスク着用、通常より大きい会議室での団体交渉となり、夏期一時金で一般職については昨年ベースの支給をかち取りました。同労組は「異例尽くしの今春闘において、みんなで集まり、色々な意見を出し合うことの重要性を再認識することとなりました」とし「全員が本当の意味で参加した活動を目指していきたい」と決意を表明しています。
コロナ禍が地域・農業に与えている影響にどう向き合うか
また3面では、「地域農業・仕事の実態は?」の見出しで、コロナ禍が地域・農業に与えている影響について各地の農協労組の報告を紹介しています。宮崎・延岡農協労組は「食肉の輸出ストップの影響大 資金確保と消費拡大運動へ」として「全国的に肥育農家の経営は非常に厳しく、80万円台で導入した子牛が出荷時に80万円を下回る相場にまで下がっています」など実態を報告。農協として地元産牛肉の消費拡大運動など行うとしています。新潟県農協労連は「年間を通じた収入減少が懸念 貸付金や支援制度にも課題」として、卒業式や入学式の中止で花を栽培する「花き農家」は生花の行き場を失い、学校給食の中止で、乳用牛農家は単価が下がってでも加工用に切り替えを迫られている実態を報告。持続化給付金など農業者にも適用される政府の支援制度もあるが、農繁期の最中であり対処しきれない恐れもあると指摘。政府に対しては「申請書の簡略化などで実態に即した迅速な補償と支援を求める」としつつ「わたしたちが携わる産業分野で、今何が求められているのかをしっかり掴み、それを仕事に活かし、よりよい職場と地域を目指すことが大切」と訴えています。