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○金融ユニオンが近畿財務局に要請【金融労連】

地域住民・働くもののための「顧客本位」めざせ

 4月9日、金融ユニオンは大阪のみどうすじ総行動・財金近畿大行動に参加して、近畿財務局への要請を行いました。要請では、地域金融機関再編、店舗統廃合・ATM撤去等のリストラ問題、手数料の新設・値上げ、あおぞら銀行の内部通報者の処分、三井住友銀行の派遣労働者の雇止め、コロナ禍の中小企業・個人事業者一時支援金の問題について要請を行いました。



合併・統合は「金融機関の経営判断」でいいのか

 要請で金融ユニオンは、金融庁・日銀の進める地銀再編政策を批判。地銀の再編政策をやめて「コロナ禍に苦しむ中小企業への親身な支援と、地方自治体と連携した地域経済活性化を目指す地銀の役割発揮」をうながすことを要請しました。これに対して財務局は「コロナ後を見すえた事業者支援を行うためにも、合併・経営統合は経営改革の選択肢の一つ」とし、あくまでも「個々の金融機関の経営判断である」と回答。
 金融労連・金融ユニオンは、地域金融機関の再編加速政策についてこれまでも、①安部・菅政権の地銀再編政策は、異次元の金融緩和・マイナス金利政策が地域銀行の経営困難の要因となっていることを無視し、②地域銀行の寡占化の容認は、中小零細企業の切り捨て淘汰につながり、③地域金融機関が、「持続的なビジネスモデル」を作り上げるためには、中小企業への支援と地方自治体と連携した地銀の役割発揮が求められることを明らかにしています。
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一方的な手数料引き上げ、店舗の統廃合が「顧客本位」といえるか

 要請では「硬貨取扱手数料、両替手数料、通帳発行手数料など、各種手数料の新設・値上げで、利用者への犠牲転嫁が強まっている」として「『顧客本位』の原則に則って改善指導をはかること」を要請しました。財務局はこれに対して「サービスの対価としての手数料は、金融機関の経営判断に属する」と回答。金融ユニオンは「地元議会での『反対決議』でも示されたが、店舗の統廃合やATMの撤去は、地域住民へのサービス低下だけではなく地域の過疎化対策にも逆行する」と指摘。「一方的な店舗統廃合を『個別企業の経営判断』として放置するのではなく、地域経済を守り再生させる立場からも一定の規制を設け、金融機関の社会的役割を果たすよう指導すること」を求めました。
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内部通報者の保護=あおぞら銀行Iさんの問題にも言及

 あおぞら銀行から金融ユニオンに加盟したIさんの闘いは、東京都労働委員会への救済申し立てが受理されて、5月27日に労働委員会での調査が予定されています。この問題について、財務局は「要請時に『あおぞら銀行の問題』として『金融庁に伝えてほしい』とのことだったので、金融庁に伝えていきたい」と回答。加えて「公益通報の内容を差し支えなければ教えていただきたい」と質されました。金融ユニオンは「簡単に言うと行内ルールを無視した相続手続きの問題点を指摘した行員に対して、報復的な懲戒処分を続けているということです」と説明し、4月16日に予定している金融庁要請(財務・金融共同行動による)で直接要請すると伝えました。



三井住友銀行派遣労働者雇止めの改善指導を要請

 金融ユニオンの「三井住友銀行の派遣労働者雇止めに対する改善指導を行うこと」との要請に、財務局は「金融庁に伝える」とし「法令に抵触したり銀行業務に支障がある場合には、事実関係を確認し対応されるものと考える」と回答。さらに金融ユニオンは「社員証を持たされていない派遣労働者の、閉店後のATMコーナー等での対面型クレジットカード販売営業は、『銀行員が暗証番号などをお尋ねすることはありません』との注意喚起にも反し、コロナウイルス感染対策上も不適切」と実態調査と改善指導を要請しました。財務局は「前回、三井住友銀行の事例と説明があったので金融庁に伝える」と回答。金融労連・金融ユニオンはこれまでも非正規労働者の雇止めの撤回などに取り組んできています。
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業者団体(大阪商工団体連合会)からも要請

 要請には、業者団体の大阪商工団体連合会(大商連)も参加。大商連は「事業継承を支援する一時支援金」について「今回申請では、金融機関など登録確認機関による事前確認が必要とされているが、金融機関の対応は『与信取引』があるか、『出資会員』でなければ、相談にさえ応じない状況が生まれている」と指摘。「『与信取引』事業者だけを相談の条件にするのは、行き過ぎた対応」と改善を要請しました。 

 財務局は「これは経産省(中小企業庁)の管轄であるが、関係部署と情報は共有させていただきたい」と回答しました。金融ユニオンは「銀行員の立場からいうと、与信取引のない顧客や白色の納税申告されている事業者を、どこまで事業性として確認できるか。金融機関としては困難だ。取引実態把握は、本来、支援金申請を受け付ける中小企業庁・経産省のするべきこと。これが可能かどうか金融機関に聞き取りを行うべきで、金融機関ができないと言うなら、金融庁から中小企業庁に『金融機関に事業性確認を求めるのはおかしい』と発信すべき。支援金の本来の趣旨からは、申請者が自分で事業性を説明できる限り、受け付けるべきだ。管轄の違いを乗り越えて対応してほしい」と要請しました。
(要請内容、財務局回答は機関紙「金融労連」4月25日号から

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