東京都労働委員会にかけつけた支援のなかま
金融ユニオンは、あおぞら銀行のIさんに対する不当処分の撤回を求め、東京都労働委員会へ不当労働行為救済命令を求めて申し立てを行いたたかっています。7月26日(月)その第2回調査が、都労委で行われました。ここでは、第2回調査にむけて7月16日付で提出した組合の準備書面から争点を明らかにします。
あおぞら銀行のIさんは、昨年6月遺言書の相続手続きで担当者が遺言公正証書の存在を隠して、遺言と異なる遺産分割協議書の作成手続きを案内し、上司らがそれを知りながら放置し、事務処理チェック表に行内ルールに反する記載がされたことは、コンプライアンス上の問題となると考え、行内のホットライン関係者に通報しました。この通報の後、7月14日 人事部Eグループ長がIさんを呼び出し、数年も前の上司の不始末をIさんが注意した件など持ち出し、Iさんが上司や同僚を困らせたと注意をしました。Iさんは、この注意はIさんがホットライン通報したことへの報復だと思い、上司や同僚を困らせたというのはどういう事実をさしているのか説明を求めましたが、回答はありませんでした。
7月28日 Eグループ長はIさんと再度の面談で、7月14日面談にともなう不明事項についてのEグループ長あて紹介メールなどのIさんの行動を懲戒事由に該当すると決めつけ、人事規則の該当箇所にマーカーをつけて交付しました。
IさんはこうしたEグループ長の対応を報復と考え、同銀行の社長や同僚にメールで訴えました。すると、その直後にK人事部長から、社長に対するこのようなメール送信は業務妨害であり、繰り返すなら懲戒処分がありうると注意通告を受けました。懲戒処分では本人の弁明の機会を与えることが手続き要件です。この時の人事部長からの「通告書」には、7月28日の面談時にIさんの「弁明を聞く機会を設けました」と書かれていますが、組合はこれを事実に反すると指摘。Iさんは、金融ユニオン加入後の第2回目の団体交渉(11月6日)で「7月28日に私が何か弁明したのですか?」と問い質したのに、銀行側弁護士は「したかどうか分かりません」と答えています。
Iさんは8月3日に金融ユニオンに加入し、第1回団交(10月8日)で金融ユニオンは7月28日の面談記録の開示を求め、Iさんが上司や同僚を精神的に困らせたというのはいかなる事実を言うのか追及しましたが、銀行は説明を拒否しました。組合が、Eグループ長が7月28日の面談でIさんの行為が「懲戒事由に該当」とした点について追及すると、Eグループ長は「懲戒事由とは言っていない。そこは言葉を使い分けた」と繰り返しています。
銀行は、この後に、次回団体交渉を11月6日と通告しておきながら、10月30日にIさんに対する出勤停止処分を何の説明も無く発令しました。
Iさんに対する2021年3月期の異常な低評価と、異例の2階級降格が問題となります。2020年6月に2021年3月期の目標設定をIさんは何回も差し戻されました。Iさんは遺言隠蔽行為再発防止の観点から「特に問題のある行動については証跡を残す」とした目標をメールで送信していますが、上司はこの部分を削除した目標設定を返信しています。その後Eグループ長から「目標設定のすり合わせはストップさせてもらっています」と言われ、目標設定について指示はなく未設定のままでした。
しかし、銀行は今年3月になって目標については2020年6月に通知済みとし、Iさんが設定した覚えのない目標設定シートを手交され、本人による自己評価欄は空白でした。にもかかわらず、Iさんは2020年3月期最低評価「1」を告げられ、2021年4月1日付で異例の2階級降格、人事部附への配転を強行されたのです。
銀行は4月1日、Iさんに対して人事部附を発令し、週3日出社、週2日在宅勤務、出社時は終日同僚と接点のない来客用応接室での業務、勤務終了時にメールで通知して帰宅するように指示をしました。また、私物は自宅へ持ち帰るよう指示され、私物保管場所もなくなり、出社時の勤務は、従業員フロアへ一切入れません。在宅勤務時も従業員との交流を断ち切られ、終日レポート作成業務を行わされています。準備書面では「これらは典型的な『人間関係からの切り離し』であり島流し同然の見せしめ隔離人事である」と糾弾しています。
7月26日の都労委第2回調査には、金融労連、金融ユニオン、全損保、関金労、金融・労働研究ネットワークから12名がかけつけ今後の支援を確認しました。
次回都労委第3回調査 9月10日(金)10時30分~都庁東京都労働委員会