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○賃金討論集会を開催【全損保】

 全損保は、11月27日、東京で賃金討論集会を開催し、全損保各組織の賃金対策部を中心に友好労組である大同火災労組、損保料率機構労組の代表者も含め32名が参加しました。

2022年春闘構築にむけて情勢認識を深め意思統一
全損保賃金討論集会

全損保賃金討論集会

 集会は、佐藤本部賃対部副部長(損保ジャパン支部)の進行で始まり、まず「コロナ禍での春闘~財界・経営の動きと労働者の多様な実態・要求を踏まえて~」と題し、東京法律事務所の中川勝之弁護士から講演を受けました。
 中川弁護士は、コロナ前の労働情勢について、安倍政権下で非正規雇用が急増し労働者の正規と非正規への分断が大きく拡大されたと指摘。政権が進めた「働き方改革」は「柔軟で多様な働き方」の名の下で「高度プロフェッショナル制度」の導入など、労働者保護の従来の規制が緩和される一方で、これまでのたたかいを反映して一部修正された点を説明されました。
 例えば、「労基法に労働時間の上限が設けられたことは、長時間労働の防止のため前進だが、時間外労働の上限時間を1ヶ月100時間とし、『過労死ライン』まで可能とされたことは長時間労働を事実上容認するもの」と問題点を指摘。データの改ざんが問題となり廃案になった裁量労働制拡大を引き続き財界が目指しているなど、労働の規制緩和に対する警戒を呼びかけました。


コロナ禍で多様化する労働者の実態と要求

 また、労働契約法の「改正」で、短期雇用でも雇用が繰り返されると無期雇用に転換する「無期転換申込権」が定められ、判例法で確立されていた「雇止め法理」が明文化され、不安定雇用が一部手直しされた点を説明。そのうえで、「ただし、劣悪な賃金・処遇は放置されたまま」として、非正規の処遇格差の是正を求めてたたかわれている「20条裁判」の内容を紹介。日本郵政に対する最高裁判決で、住宅手当や扶養手当などが非正規に支払われていない場合、その手当の目的から非正規に払われないのは不合理であると判断されたと説明。「手当の成立目的」が判断の基準になり、今後は「正規にあって非正規に無い手当などとりあげ、『格差があっていいのか』を十分論議し、要求につなげていくことが必要」としました。
 コロナ禍における財界・経営の動きについては、「コロナ前と同様に自分たちの利潤のみを追求している」とし、コロナ禍に便乗した新しい働き方(テレワークなど)が利潤追求の一手段としてすすめられ労働条件や賃金に様々な影響をもたらしていることを説明。コロナ禍の収束が見通せないことから、テレワークも一部固定化していくことが想定され、さらに、ウーバーなど雇用契約によらず労働者保護の対象外となる業務委託が拡大する懸念をも指摘。
 中川弁護士は、以上のように働き方をめぐる情勢を説明し「労働者は多様な実態に置かれることを強いられており、要求も多様化・個別化している。しかし、その要求を多数集約することで共通する問題が見えてくる」とし、「今は、こうした働き方の入口であり、ここで要求を勝ちとるかどうか、前例を作れるかどうかが重要となっており、春闘で実態に見合った賃金(手当)を要求したたかって欲しい」と参加者を激励しました。


経営の厳しい出方と要求の高まりがぶつかり合う2022年春闘

 続いて、西田本部賃対部長(共栄支部)が「2022年春闘構築に向けて、要求討議のすすめ方」を提起し、2022年春闘構築に向けて「産業のあり様が不確かな中、デジタル化のスピードが求められ、収益力の強化が迫られている経営の危機感は継続しており、春闘においては経営の厳しい出方が想定されている。一方で、職場に処遇改善の要求は強まっており、経営の厳しい出方と、働く者の強い要求がぶつかり合う春闘となる。分散会ではこれまでの到達点や教訓を確認し合い、全損保統一闘争への認識一致をはかって欲しい」と積極的な討論を呼びかけました。
 引き続き、共栄支部、日新支部、楽天損保支部から2021年春闘の経過と到達点、2022年春闘にむけた課題や職場状況、その背景にある経営政策が報告されました。その中で、集まることができない中で、分会闘争委員長の写真と一言の意気込みを発信してもらうことで顔の見える形で取り組んだ(共栄支部)などコロナ禍でのたたかい方の工夫が報告されました。また、シニア処遇の改善を実現したが、これは、Chubb Japan支部の勝ち取った成果を生かそうと追及して要求実現できたもので、全損保統一闘争のもとに闘ってきた成果だとの報告(日新支部)がありました。
 その後、2班に分かれて分散会が行われました。分散会終了後、まとめの全体会が行われ、友好労組からあいさつを受け、最後に、梶谷本部賃対部副部長(日新支部)が閉会のあいさつで「今日の討論集会の内容を持ち帰って執行部で共有し、組合員の期待に応える具体的な要求づくりをしていこう」と2022年春闘討議のスタートを呼びかけ賃金討論集会を閉会しました。
 全損保ホームページ参照 https://www.niu.or.jp/news/top_news.html

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