全損保が賃金討論集会を開催
11月23日、全損保は東京で賃金討論集会を開催しました。この集会は、例年、春闘構築のスタートにあたって、情勢への認識を一致させ、各支部・独立分会が抱える課題を共有し合い、要求討議のスタートの場に位置づけ行なっています。集会には、リモートでの参加者も含めて、全損保各組織の賃金対策部を中心に友好労組など33名が参加しました。
集会は梶谷本部賃対部副部長(日新支部)の進行で始まり、まず、国民春闘共闘委員会・全労連事務局長の黒澤幸一さんから「『賃上げと労働組合』~米国労働運動の今にもふれて~」と題して講演を受けました。
講演では、アメリカでの労働組合結成の動きを報じたラジオ番組の録音を聞き、黒澤さん自身も参加した「レイバー・ノーツ大会」で感じたことを以下のように紹介しました。
➀いまアメリカでは、「第三の高揚期」と言われるほど労働組合結成の動きが加速している。それは、賃上げや労働条件の改善、差別解消もさることながら、それ以上に「職場でモノが言えるためには労働組合が必要」ということが土台になっている。そして仲間を組織化するために、上からの官僚的な労働運動から、下からつくる運動に徹すること、そのために労働者が声をあげるスペース“場”をつくっていくことを大切に、「小さな成功体験を積み重ね、労働者の最大の武器であるストライキでたたかえるところまで高め合う」ことを徹底し成果をあげている。
②また、アメリカでは、この間“fight for $15”(=最低賃金時給15ドル)と呼ばれる最低賃金運動によって、最低賃金引き上げは大きく前進したが、その前進が組織化につながらなかったことから、組織化を先行して行なう運動に舵を切りなおした。その結果、スターバックスやアマゾンなどの大企業で組織化が進んできている、としてアルバイトの若い学生・大学院生が労働組合結成に動いたスターバックスや、職場の劣悪なコロナ感染対策の改善を訴え解雇された労働者が、徹底した対話を重ね労働組合結成・法的認証に成功したアマゾンなどの事例を説明し、「日本でも、組合専従者だけが活動するサービス提供モデルではなく、労働者自身が自発的な組織化活動を行なう組織化モデルへの転換が必要ではないか」と労働組合活動の転換を訴えました。
今春闘をめぐる情勢については、賃金が伸びず物価が高騰し生活が厳しい労働者の実態、フリーランスも含めて40%を超える労働者が非正規雇用となりコロナ禍で雇用の調整弁とされている実態、一方で企業の申告所得が過去最高の80兆円に迫り、内部留保が500兆円を超えている実態を紹介。日本だけ賃金が上がらないことについて、たたかう労働組合のバージョンアップの必要性を強調しました。
賃金引き下げをくい止めた岩手医大教職員組合のたたかい、限定正社員制度導入に対し労働委員会をも活用して正社員と同等の労働条件を勝ち取った全労連・全国一般PCU分会のたたかいを紹介し、最後に、全損保に対し、「賃金が上がらない理由は様々あるが、それを跳ね返せるのは労働組合が仲間を増やして成功体験を積み上げていくしかない。徹底した論議で組合員の切実で緊急な要求を固め、専従者や機関役員だけが交渉や運動するのではなく、労働者個々人が自らの要求としてたたかって欲しい」とエールを送りました。
続いて、西田本部賃対部長(共栄支部)が「2023年春闘構築に向けて、要求討議のすすめ方」を提起し、2023年春闘構築に向けては、「損保の中間決算では、保険引受利益は赤字となっているが、通期では安定的な黒字を確保する見通しとなっている。経営は、事業環境の不透明さ厳しさを言い立て、労働生産性の追求を強調し、厳しい出方が想定されている。一方で、組合員の生活は物価高騰などで厳しくなっており、不満や不安の強まり要求は大きくなっているとして、経営の厳しい出方と労働者の強い要求がぶつかり合う春闘となると指摘。積極的な討論を呼びかけました。
引き続き、共栄支部、楽天損保支部、Chubb Japan支部から、2022年春闘の経過と到達点、12月臨給闘争、65歳以降の雇用確保、2023年春闘にむけた課題や職場状況、その背景にある経営政策が報告されました。
その後、2班に分かれて分散会が行なわれました。分散会では、講演の感想と全体情勢に対する意見を出し合ったうえで、各社の経営政策や職場における問題点、これまでの春闘や各種制度改定におけるとりくみなどに関し、率直に意見や悩みが出され、情報の共有がはかられました。
分散会終了後、まとめの全体会が行なわれ、友好労組からあいさつを受けました。
最後に、藤野本部賃対部副部長(楽天損保支部)が閉会のあいさつに立ち2023年春闘討議のスタートを呼びかけ賃金討論集会を閉会しました。(全損保ホームページから)