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○金融労連が金融庁要請

地域金融機関の実態に即した行政求める
金融庁に要請する金融労連

金融庁に要請する金融労連

 金融労連は12月13日、金融庁への要請行動を行いました。要請は衆議院第2議員会館会議室で行われ、中島委員長はじめ金融労連執行部および地銀、信金の融資担当者が参加しました。静岡大学の鳥畑与一教授(金融論)、衆議院の田村貴昭議員(財政金融委員 共産党)が同席されました。


コロナ禍の中小企業支援を要請

 長期化するコロナ禍で中小零細業者は過重債務を抱え、さらにこの間進められた無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)が終了して、債務の利子支払いが始まります。金融労連は要請書で「ゼロゼロ融資」の無利子期間の2年間延長、過重となった債務を国の出資による債権買取機構を通じた「資本性劣後ローン」への転換や「債務の株式化」によって別枠扱いとすることを要求しました。
 これに対して金融庁は、政府として新たに借り換え保証の新制度の創出を予定し、また日本政策金融公庫のスーパー低利・無担保保証や、セーフティネット貸付申込期限の延長もあり、これらを活用して事業者支援にご協力いただきたいと回答。
 中島委員長は、金融庁が11月28日に全銀協など業界団体宛に発出した要請「事業者支援等の徹底について」で、事業者支援を丁寧に行うことを求めていることにも触れて、このなかで言われていることは実現可能なのか。個別の金融機関に「こんなことはできません」と言われてしまったらどう対応するのかと質しました。
 金融庁は、個別金融機関によって対応の程度に差が出てしまうだろうが、事業者から金融庁に寄せられる苦情等や、財務局などを通じて行うヒアリングによって実態把握に努めていると説明。
 中島委員長は、業者からの要求に対して個別金融機関が対応しなかった場合に「対応するように」という指導はされるのかと追及し、11月28日の業界団体への要請で「(事業者に)申し込みを断念させるような対応を取らないこと」と書いてあるが、職場の現実はそうなっていないと訴えて金融庁発出文書と職場の現実ずれを指摘。現実に即した対応を求めました。


自然災害で生じた過重債務と同様に救済を

 中島委員長は、個別金融機関は金融機関自身の収益性が低くなると、合併等の再編を拒否できなくなるため、自社の経営を最優先に考えると指摘。そのために事業者の債務を資本性劣後ローンに転換するなど、対応しない可能性もある。コロナ禍で生じた過剰債務は、自然災害で生じた債務と同様に国が買いとるのが事業者に一番安心な形で、金融機関もその後の支援も含めて対応しやすいと主張しました。
 鳥畑教授は、日銀が特別当座預金制度でOHR(経費率)を引き下げた金融機関へ特別付利を出して地銀、信金など256の地域金融機関が受けている。この適用を受けるために地域金融機関は、経費率を引き下げるために合理化をすすめ、ATMの撤去、店舗の統廃合、人員削減を進めている。こうした状況では、金融機関の現場がきめ細かい事業者支援を行えと言われても対応できないのではないかと指摘しました。
 関連して、要請参加者から金融庁は一方でコロナ禍の中小企業支援を求めているが、同時に金融機関に生産性を上げることを求めている。金融機関が収益力を上げて経営の「健全性」を維持することと、コロナ禍で過重な債務を抱える事業者への丁寧な対応を行うことは相反する面を持つ。その矛盾を解消しなければ、地域金融機関に中小企業支援をしなさいと言ってもできない。「週刊ダイヤモンド」が「コロナ禍はゾンビ企業を整理・淘汰するチャンスだ」と書いているが、どの方向で中小企業支援を進めていくかが問われていると指摘しました。
 これに対して金融庁は、地域金融機関が20年、30年後になってなくなってしまうことがあっては事業者に大変な迷惑をかけてしまう。そうした持続可能性に対応していく必要があると説明。
 要請参加者は、地域金融機関がなくなってしまわないために何をするのかが問われている。合併・統合したり、店舗をなくして目先の経営効率が上がっても、その地域の金融機関として存続できるのか。地域に拠点を持つ金融機関がなくなり地域経済が疲弊してしまったら地域金融機関として生き残っていくことはできない。地域に支店を残し地域に根を張り地域経済を支えていく中で地域金融機関が生き残っていくのが本来の地域金融政策ではないかと追及ました。


地域内資金循環の視点から株主配当を規制すべき

 中島委員長は、地域経済が疲弊して人口流出が止まらない事態に地域金融機関だけで何とかしろと言ってもそれは限界がある。地域経済の抱える問題をどう解決するか広い視点で確認して、その中で地域金融機関がどういう役割を果たせるのか、事業者をどう支援していくのかを示していくべきで、そのためには地域経済をどうしていくのか関連する省庁で検討して方向性を示していただきたいと要請しました。
 これに関連して鳥畑教授は、地域経済を支えるためには、地域の資金を地域内に投資して循環させる地域内資金循環の視点が必要になると指摘。また金融機関の利益の株主への配当に対しては、コロナ禍に直面してEUや国際通貨基金が配当制限を行ったことを説明し、地域金融機関が中小企業を支えるためには株主への配当を制限するべきではないかと訴えました。
 最後の要請項目、「12月30日の休日化」について、金融庁は金融機関の一斉休業化はできないが個別金融機関の休業は可能になっている。12月30日の休業化はインターネットバンキング等の進展等を見て検討を進めたいと回答しました。


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