全損保支部独立分会代表者会議
1月21日、全損保は東京で支部独立分会代表者会議を開催し、2023年春闘に向けて方針の提起を受け意思統一ました。
会議では浦上委員長が世界経済、日本経済、政治の状況、春闘の全体情勢、金融・損保をめぐる情勢を分析し2023年春闘方針についての提起を行いました。
浦上委員長は、終息のめどの立たない新型コロナウイルスの感染拡大、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が世界経済に深刻な影響をおよぼし、「その先行きは混とんとしている」と説明。日本経済も世界経済のリスクを受けて22年7月~9月のGDPがマイナス成長となり、貿易収支も同1月~12月で過去最大の赤字となる状況を説明したうえで、企業業績が7月~9月期に7四半期(1年9カ月間)連続で増益となり、内部留保は500兆円を超えて過去最高を更新する一方で、人件費は1.7%減、設備投資も2.4%減るなど、企業が利益を「ヒト、モノ」に使っていないことを強調しました。また、12月の消費者物価は前年同月比4%上昇で41年ぶりの物価上昇となり、大企業が利益を得る一方で、国民全体がコロナ禍と物価高で苦しむ経済情勢を明らかにしました。
政治の状況では、政府は防衛費を5年間で倍にするとして、敵基地攻撃能力を保有し、米軍と一体で戦争できる国へ突き進もうとしているとし、平和と民主主義の危機が現実のものとなり、原発政策における「建て替えの推進」、「60年を超える運転を可能にする」などの動きをあげて、「国民の願いに逆行する政策が次々と実施されようとしている」と訴えました。
春闘情勢では、経団連の十倉会長が「ベアを中心に物価高に負けない賃上げをしてほしい」と会員企業に呼びかけ、経団連の春闘方針である「経労委報告」でも「企業の社会的責務として賃金引き上げの勢いの維持・強化に向けた積極的な対応」を呼びかけていることを紹介しました。連合の芳野会長も「とにかく賃上げが必要だ」と訴え、闘争方針としてベアを月例賃金の3%程度、定昇分と合わせて5%程度の賃上げを要求するとし、金属労協傘下の三菱重工など重工大手の労働組合は賃金改善として、前回の4倍の月額14000円を要求方針とし、流通や外食、繊維産業で構成するUAゼンセンはパートも含めた全体でベア4%、定昇も含めて6%程度をめざす方針としていることを説明。
また全損保も参加している国民春闘共闘は2023年春闘を「物価を上回るベアなしでは終われない春闘」と位置づけ、統一賃上げ要求として『時給1500円以上、月225000円以上の産業・企業内賃金の実現」、「月30,000円以上、時給額190円以上の賃上げ」を掲げているとしました。
以上のように、浦上委員長は2023春闘をめぐる経営側、労働側の動きを紹介して「多くの経営が『賃上げ』に意欲的と紹介したが、企業収益と生産性を基軸に置く資本の身勝手さと正面からぶつかり合うことになる」として「確信ある要求作り」を訴えました。
損保情勢では、前年度決算で大手3グループの連結純利益が3メガ体制になって最高益を記録したが、今年度に入って9月期の中間決算では、ほぼ全社が増収減益となり、大手の東京海上HDが7割減益、MS&ADとSOMPOは赤字となり、通期見通しでも減益が見込まれていると説明したうえで、「減益と言っても前年度の最高益からの減益で、利益を上げることは間違いない」としています。
2023年春闘構築については、「秋のたたかいでは、感染対策を徹底して3年ぶりにリアルで本部オルグを開催し、前年度からオンラインで行ってきた『地域組合員との意見交換会』も、12月に名古屋、1月に広島、大阪でリアルに集まって開催。地域協働会東京や、外資連絡会、外勤部全体会、サマージャンボリー実行委員会など集まることで運動を前進させてきた」と紹介しました。
一方組合員は、仲間同士の対話、コミュニケーションが不足する職場で不安を抱えて業務を行なっているとし、「そうしたことから、この間開催してきた会議や集まる場では組合員同士が忌憚なく笑顔で話し合っていた」とリアルに集まる場の大切さを強調したうえで、全損保は、70年間「人が集まって語り合い、励まし合う」場を最も大切にしてきたと述べ、組合員がコロナ禍に置かれた状況では、そのことがこれまで以上に大切だとし「コロナ禍の動向には細心の注意を払いつつ、リアルに『集まり語り合う』場の開催をめざし、一方で、オンラインの活用で普段会うことが難しい組合員との接点も持ちながら運動を進めていく」と提起しました。
そして、今春闘で掲げる統一基準(案)として、2000年春闘以来、23年ぶりに要求の水準を明記したとして、「制度上の賃金に『月例で上乗せ』を柱とし、その水準を『月例で4%以上、下限8000円』または『年収で20万円以上』のいずれかを満たすものとする」との具体内容を提案しました。浦上委員長は、「23年ぶりに水準を示す統一基準を掲げることになり、昨春闘までとは全く違った要求論議、たたかいとなる」とし、「経営はそれを見て従来になく厳しい出方になると考えなければなりません」と訴え、「物価高による生活の厳しさを補い、そのうえで実質賃金を改善する賃金引上げを柱として」春闘を闘うことを提案しました。
浦上委員長の提案を受けて分散会のなかで論議を深め、全体会で春闘アピールを確認して閉会しました。