金融共闘

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○23春闘 単産の取り組み報告

23春闘 要求実現めざす金融労組

 金融共闘は例年4月に統一行動に取組み、意思統一集会の中で加盟単産のたたかいを報告し交流を図ってきました。今年も国公労連などの「国民のための財務金融行政を求める2023共同行動」と連携して、財務省前での宣伝行動に取組み、午後からは金融庁への要請を行いました。コロナ感染防止のために意思統一集会に代えて、加盟単産の23春闘の取り組みを報告していただきました。


賃金引上げをかちとる春闘に


全日本損害保険労働組合 中央執行委員長 浦上 義人

 損保産業は、減益傾向に加えて、既存市場の縮小、大規模自然災害の発生懸念に加えて、コロナ禍やウクライナ危機の長期化による経済停滞、スピードが求められるデジタル化への対応など、事業環境の先行きが不透明さを増していることから損保経営は危機感を強めています。そのもとで「収益力の強化」をめざし、「合理化・効率化」、労働生産性の追求をすすめています。こうした各社の政策は、損保の職場に多様な「歪み」をもたらし、不満・不安が広がっています。一方で、職場からは物価高による生活の厳しさが訴えられ、賃金引上げを求める要求はかつてなく強まり、春闘への期待は高まっています。
 全損保は、「賃金引上げ」を柱とした要求に固執し、その実現にむけて全損保統一闘争のもと、すべての組合員が結集し、確信をもってたたかう春闘に全力をあげています。


ベア獲得にこだわった交渉を引き続き強める


全国金融労働組合連合会 中央執行委員長 中島 康隆

 政府・日銀は、独占禁止法の適用除外とする特例法の施行や、再編時のシステム統合費用などを補助する制度、経営統合や経費削減に取り組んだ地銀や信金に対し日銀の当座預金の金利を0.1%上乗せするなどの手法を使って、地域金融機関の再編・合併を進めています。
 日銀の異常なマイナス金利や人口減少、地域経済の破壊など、国の政策への反省・転換がないまま、各金融機関に対して「従来の経営では、生き残れない」と利益追求型の営業展開を求め合併再編を誘導しています。
 金融庁は金融機関に「顧客本位の業務運営」を求めていますが、地域金融機関は生き残りのために、利益追求型の営業展開による過剰なノルマで、とても「顧客本位」とはいえない職場の実態があります。日銀の特別付利制度により、「経費率(OHR)」の低下を意識した経営効率化を進め、安易に店舗統廃合や人員削減をする動きもあります。
 金融労連が毎年行っている「職場と生活アンケート」をみると、この10年間で、「リスク商品等のノルマ追及」が不安・不満だと思っている人が20.2%から29.2%と大きく増え、特に女性は32.7%と、3人に1人は不安・不満に感じていることになります。さらに10年前は半分以下だった「要員が足りない」という不安・不満は、実に63%もの仲間が感じており、それぞれ昨年よりも増えています。この10年で金融の職場の機械化・システム化は進みましたが、一方で人員が減らされていることを裏付けています。
 こうした経費の削減の一方で、収益確保のためリスク商品の販売に力点をおき、人員が減った中でこうした商品のノルマ追及が厳しくなっています。地域密着、お客さま本位の経営が求められる中で、従業員がゆとりを持って、お客さまと話をしながら、自信をもってセールスができるような職場に変えていく必要があります。
 金融労連では、これからが春闘本番となりますが、物価高騰が進み賃金の伸びが追い付かず実質賃金が下がり続けている状況を踏まえ、ベア獲得にこだわった交渉を強めます。さらに労働時間や諸手当などの労働条件の改善含め、私たちの切実な要求の実現をめざします。特に、若年層の離職が増えている中、将来展望の持てる職場環境・処遇の改善が求められ、金融労連は引き続き、回答促進・要求前進の取り組みを進めます。


社員の努力に報いて大幅賃上げを


全国証券労働組合協議会 議長 金子 正史

 証券業界では、従業員の懸命な努力にもかかわらずロシアによるウクライナ侵攻、世界的なインフレや急速な円安の進行等、金融環境の悪化を受けて業績は苦戦を強いられています。
 また、みずほ証券が新規株式公開の際に公開価格に関して不当な設定をしたとして、公正取引委員会から独占禁止法違反につながるおそれがある行為だとして注意されました。昨年のSMBC日興証券の金融商品取引法違反に続き日本の証券市場に対する国内外の信頼が大きく失墜しかねない行為です。
 証券会社が自社利益の追及をやめ、顧客と従業員を優先する経営への転換なくして、証券業界の発展は望めません。
 このような状況の中、全証労協で行った春闘・夏期一時金のアンケートからは、「生活に必要な賃金を保証して欲しい」と42%の組合員が回答するなど、賃上げへの期待が強まっています。
 私たちの生活に直結する物価水準の急激な上昇を受けて、生活を支えるために思い切って賃上げを行い、社員の努力に報いることが必要です。


地域での共同・共闘を広げ、協同組合の役割を発揮する


全国農業協同組合労働組合連合会 中央執行委員長 砂山 太一

 2016年の農協法改正以降、農協系統は「JAグループ自己改革」として、全国で県一農協合併や県域・広域合併、支所支店・施設の統廃合などを進めてきました。こうした組織・事業改革は職場を疲弊させ、将来不安とあわせて中途退職者が増加し、現場は慢性的な要員不足と長時間労働が強いられています。そうしたなか、労働組合のない職場や上部団体をもたない労働組合から、組織再編や職場の問題の相談が相次いで寄せられています。
 生産現場では、資源高騰や円安の影響により、飼料や肥料、燃油などの農業関連資材が史上最高水準に高騰しています。一方で、農畜産物はその高騰に見合う価格転嫁ができず生産コストの上昇は農家の営農と暮らしを圧迫し、離農が加速しています。
 コロナ禍やウクライナ危機を契機に食料安全保障への関心は高まっているものの、いまだ食料自給率は38%と6割以上を海外からの輸入に頼っており、地域農業を支えてきた農家は「作っても食えない」状況です。農協事業の土台である地域農業、そして農家組合員の暮らしと生業を支えるために、家族農業を中心とした地域農業の再建と、農家事業を支える労働者が安心して働きつづけられる賃金・労働条件は不可欠です。誰もが安心して働きつづけられる職場、雇用・身分を守り、労働条件の向上をめざす職場のたたかいを基礎に、他産業の仲間、そして農家組合員の願いや思いに依拠し活動しています。


金融業界で働くものとして労働条件の改善に取り組む


全国信用保証協会労働組合連合会 中央執行委員長 松尾 恭平

 信用保証協会は公的保証等により中小企業・小規模企業者(以下、「中小企業者等」)の資金繰り支援及び経営改善支援に取り組んでいます。新型コロナウイルスの影響に加えて、エネルギーコストや物価の高騰により、信用保証協会のお客様である中小企業者等も先行きが見通せない状況にあります。
 信用保証協会は大きな不安を抱える中小企業者等のニーズに応えるべく、地域金融機関や各種支援機関の皆様との連携による「伴走支援」や「プッシュ型の経営支援」等に注力しています。
 また、今後は中小企業者等の倒産増加も懸念され、事業再生支援の重要性も増しており、信用保証協会職員に求められるスキルや業務の幅は年々高まっている状況です。
 高騰する国内の物価動向を背景に賃金引き上げムードは高まっていますが、信用保証協会においては国費が投入されていることを理由に賃上げは厳しい状況にあります。国の適切な中小企業政策と中小企業者等の持続的発展がなければ我々の労働条件の改善も難しいものと考えています。同じ金融業界で働くものとして、金融共闘の皆様とともに労働条件の改善に取り組みます。


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