金融共闘

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○全国金融共闘が金融庁要請

金融庁に要請する金融共闘

金融庁に要請する金融共闘


 4月14日(金)、全国金融共闘は国公労連などによる「国民のための財務・金融行政を求める2023年共同行動」に連帯して、財務省前昼休み宣伝行動に参加し、午後は金融庁への要請行動を行いました。


職場の実態を把握して実体経済を支える金融行政を

 財務省前の宣伝行動では全国金融共闘の浦上議長が共催組織としてあいさつを行い、金融行政は世界の動きに逆行して金融規制を強化するのではなく「顧客本位の良質な金融サービスの提供」といいながら、さらに規制緩和を行おうとしていると批判。その結果、金融機関は本来の社会的な役割発揮ではなく「収益力の強化」を求められ、金融本来の役割を果たすものとなっていない。「労働生産性」追求が強められ要員が削減され、ノルマや数値管理が強まりパワハラが横行し、若手を中心に中途退職者が増加。働きがいの喪失と不安が蔓延している、と金融の職場の実態を訴えました。そして、金融行政は金融の職場の実態を把握して、健全な実体経済を下支えする役割を果たすように監督すべきだと訴えました。
 金融労連の笹本書記長は、日銀の総裁が交代したが金融緩和の継続を表明していて、異常なマイナス金利や人口減少、地域経済の破壊など国の政策の反省・転換がないまま、金融機関に利益追求型の営業展開を求め、合併再編を誘導していると批判。今、政権が行うべきはアベノミクスなどの政策を真摯に検証して、誤りは誤りと認めマイナス金利政策の出口戦略を立てるべきと訴えました。そして、地域金融機関が、地域の中小企業などのお客様に喜ばれ、地域経済の発展に寄与することができる金融機関になるよう、真に国民本位の金融政策を求めていきますと表明しました。


3人に2人が「要員が足りない」

 金融庁要請では、事前提出の要請書への金融庁からの回答を受けて、各要請参加者が要請を行いました。その中では、浦上議長から銀行だけではなく金融業態全体で業務の効率化の結果として非常な人員不足になっている実態を指摘。一人ひとりの労働者の業務が過重な現実が大きな問題になっていることを踏まえた監督指導を要請しました。また、職場で進められているテレワークについて、入社早々テレワークで就業する新人が、職場や上司になじむ機会もなくマニュアルを見て業務を遂行せざるを得ず、期中退職者増加の要因になっていると指摘しました。
 これに続いて金融労連の笹本書記長は毎年実施している「職場と生活のアンケート」にも「要員が足りない」という不安・不満が急増していて今年は63%に達していると発言。人が足りない中で金融リスク商品の販売ノルマがかけられる顧客本位とは相反する実態を明らかにしました。そして、地域金融機関の職場でも人員不足や目標追及で若い労働者は先輩や上司に相談する余裕がなく、将来への展望を見いだせずに退職していると訴えました。
 要請に参加した、貸し付けを担当している金融労連の組合員からは、長く超低金利政策が続いたことに対して、金利の上昇に転じた場合、借り手の中小企業や個人の顧客がそれに対応できるか懸念されると発言。低金利が金融機関の収益を圧迫して、従業員の処遇も仕事に見合ったものとなっていないと訴えました。金融労連近畿地協からは、ATMの廃止・店舗の統廃合の問題で地方の信用金庫でATMが廃止になると、代替のATMが10キロ、20キロ離れたところとなり、コンビニのATMも都市部と比べて少ない事態を訴え、顧客に相当の負担をかけることになっている実態を強調し、金融機関窓口の公共性を重視した金融庁の指導を要請しました。


金融窓口は社会生活に欠かせない生存権の一部だ

 全農協労連からも、農協の信用事業でも店舗の統廃合で店舗がどんどんなくなっていると指摘。昨年の金融庁要請では金融庁からネットバンキングなどの環境整備が進んでいるのでそちらで対応してほしいとの回答だったが、過疎地域で年金生活のお年寄りには困難で、店舗の統廃合やATMの廃止で従来通りの生活が困難な状況が広がっている。金融は社会生活に欠くことのできない生存権の一部と考えるべきで、それをどう保証していくのかという視点で金融行政を考えていただきたいと要請しました。
 東京信用保証協会職員労組からは、信用保証協会の職場について、コロナ禍で保証協会の保証づき融資が非常に増え、保証協会職員は一丸となって取り組んだ。その後保証の申込件数は落ち着いてきているが、ゼロゼロ融資返済期日の開始に伴い、融資条件の変更や代位弁済の増加を含めて、保証件数には表れない業務が増加していると説明。さらに保証業務以外に専門家の派遣業務にも取り組むなど中小企業のベストパートナーであり続けようと責任感を持って働いていると訴えました。
 要請の中で、浦上議長はこれまでの金融共闘の要請に対して金融庁は日銀と意見交換の場を持っていると説明していたことに触れて、日銀のマイナス金利政策が金融機関の貸出金利を抑制している事実を紹介し、本業の貸出で利益が出なくなっていることが金融機関の経営を困難にしていると指摘し、金融機関が本当に本来の役割を果たせるように、金融機関を守るという立場で日銀と意見交換をしてほしいと要請しました。(金融庁への要請書)
 「国民のための財務・金融行政を求める2023年共同行動」では、午前中にも金融庁への要請を行い、郵政ユニオンから郵貯の店舗統廃合、ATMの廃止が地域住民への深刻な負担を与えているなど改善の要請が出されました。また、全信保労連は独自に中小企業庁への要請を行いました。

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