金融労連第18回定期全国大会
9月16日~17日、金融労連は東京都内で第18回定期全国大会を開催し、2024年度運動方針、新執行部体制を確立しました。
大会では金融労連の中島康隆委員長が主催者あいさつを行いました。中島委員長は、企業の不祥事が相次いでいるとして、労働組合は経営者の不正をただす取組みを強化していきたいと表明。日本銀行のマイナス金利政策解除の可能性について、昨年12月に、雨宮日銀副総裁(当時)の発言を紹介し、金利が1%上昇すると日銀の評価損が28.6兆円、2%上昇で52.8兆円発生すると指摘。他の金融機関も保有国債で評価損が発生すると指摘し、そのしわ寄せの国民や金融機関労働者への押しつけを許すべきではない。富裕層の資産や大企業の内部留保の活用などを訴えるべきと提起。金利上昇は中小業者への影響が大きく、さらにインボイス制度導入が特に中小零細企業経営を困難にすると指摘し、地域金融機関がどう支援していくか考えていくべきと訴えました。
大会には来賓として、田村貴昭衆議院議員(共産党)、全国金融共闘の浦上義人議長(全損保委員長)、全労連の小畑雅子議長、東京法律事務所の金井克人弁護士が駆けつけ連帯のあいさつをしました。田村議員はマイナンバーカード押しつけ健康保険証廃止で批判されている河野太郎デジタル担当大臣などの留任を皮肉る朝日新聞の川柳「あなたも 留任でしたか 岸田さん」を紹介し、国民は政治変革を求めていると発言。
全国金融共闘の浦上議長は、金融行政が規制緩和や地域金融機関の再編をすすめ、成長戦略への貢献を各金融機関に求めていると批判。「このような政策は金融機関に働く仲間に大きな歪みをもたらし、働きがいの喪失と将来不安つながっている」と指摘し、「金融労働者が団結し、声を出し、この国の金融のあり方、経済のあり方を問い続けることが次の時代を切り開いていく」として、共にたたかうことを訴えました。
全労連の小畑議長は、23春闘で全労連は労働組合のバージョンアップを掲げ、ストライキを含む交渉力、統一行動を進める団結力、仲間を増やして春闘に勝利する組織力の三つの力を高めたたかいを進めてきた。第64回評議員会で、さらにバージョンアップするために職場活動の強化、要求実現の成功体験を積み重ねて仲間づくりを活動の柱に提起したと話し、共に取り組むことを訴えました。
金井弁護士は近年の労働裁判や民事調停手続きにおける経験を紹介し、労働者の訴えが労働者自身に問題があると思われてしまう事例が増えていると説明。しかし、労働問題においては労働者自身の問題性のみから紛争となることはないと詳しく説明し、労働組合はそうした視点から労働者の訴えを受け止めてほしいと呼びかけました。
笹本健治書記長が2023年度活動の総括案、2024年度運動方針案を大会議案書に即して提案しました。提案の中で、笹本書記長は、春闘でベア回答が引き出されているが、若年層の引き上げにとどまっているところもあり、全体的な引き上げになっていないと報告。滋賀銀行従組ではベア実施日を4月1日から7月1日へ改悪してきたことに対して、たたかいを継続しているなどの事例を挙げて「毅然と挑み、最後まで諦めずたたかいぬく姿勢を持つことが大切」と訴えました。
また、地域経済の発展のため地域に役立つ金融機関としての役割発揮を求めると提案し、千葉銀行他の仕組債販売に対する行政指導、ビッグモーターの不正問題をあげて、人事考課や成果主義賃金と連動したノルマ追及は、職員の不正による組織の信用問題に発展しかねないと指摘。顧客保護、社会的責任の観点からも、ノルマ販売を根絶する取り組みを進めることを提起しました。
提案を受けての討論では、参加代議員からそれぞれの職場の状況とたたかいが報告されました。
大会はすべての議案を全員一致で可決し、新年度役員を選出し閉会しました。
2024年度 金融労連役員
中央執行委員長 | 中島 康隆 | 滋賀銀行従組 |
中央副執行委員長 | 佐藤 一枝 | 北海道金融労組 |
中央副執行委員長 | 舟田 靖 | さわやか信金従組 |
中央副執行委員長 | 長谷川 清志 | 米子信金従組 |
書記長 | 笹本 健治 | 本部書記局 |