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○金融共闘が金融庁要請【全国金融共闘】

金融庁へ要請する全国金融共闘

金融庁へ要請する全国金融共闘


 11月17日、全国金融共闘は金融庁に対して金融行政の在り方について要請を行いました。要請は事前に提出した金融担当大臣あての要請書への金融庁からの回答を受け、金融共闘から職場の実態と問題点を指摘しました。


真の「顧客本位の事業運営」を

 要請書では、金融機関は「顧客第一」を強調しているが、要員削減が強行され、要員不足の中で日常業務を進められている実態を指摘。従業員は疑問を感じながら懸命に働いている。現在、金融庁が調査をおこなっている損害保険業界の問題もこうした経営政策の帰結だとし、これは「顧客本位の良質な金融サービスの提供」とは乖離していると指摘。真の意味での社会的役割を健全に果たせる金融機関への再生が必要だと訴えました。
 そして5項目の具体的な問題への対応を要請し、最後の項目で以下のような金融商品の販売実態を改善することを要請しました。

【金融庁への要請書】
  • ・投資信託・保険商品の販売にあたっては、手数料率の高い商品販売に偏重することなく、顧客の商品選択の自由を保障すること。
  • ・消費者ローン・カードローンの販売にあたっては、適用金利・保証会社・保証料率を明示し、顧客の了解のもとで融資を行うこと。
  • ・カードローンの審査にあたっては、貸金業法の「総量規制」に準じた規制を行うこと。
  • ・各種手数料の引き上げ又は新設は、優越的な地位利用の乱用と言わざるを得ない。「顧客本位」とは程遠い手数料設定を行わないよう、各金融機関へ指導すること。
(金融共闘の11・17金融庁要請書)


金融庁の回答に実態を訴える

 金融庁は、金融商品の販売では金融機関の信用を失墜するノルマ販売を行わないことはもとより、金融機関の都合ではなく顧客の立場に立って推進することが重要。2017年公表の「顧客本位の業務運営に関する原則」で顧客利益の最善を重視し、業績評価などで従業員の適切な動機付けの枠組みなど求めていると回答。
 また、投資信託・保険商品の販売では手数料の高い商品に偏重せず顧客の商品選択の自由を保障することが求められ、消費者ローン・カードローンについては改正貸金業法の趣旨をふまえた審査体制を確立すべきで、問題が認められた場合は業務改善命令を発出する。各種手数料は丁寧に説明することが求められるが、手数料は各金融機関が判断するものと回答しました。
 金融共闘の浦上議長(全損保委員長)は、金融機関にどのようなモニタリングを行っているのか問いただしました。金融庁は、各金融機関の組織方針、営業現場での動機付け、金融商品の販売管理体制など各金融機関から報告を受け、それに基づいて対話を行っていると説明。
 浦上議長は、経営者が収益を上げることを優先させる結果として問題が起きている現実を理解されないと形だけのモニタリングになってしまうと訴えました。
 笹本事務局長(金融労連書記長)からも、職場は今圧倒的に要員不足で、若い職員は分からないときにも教えてもらうことができない中で、将来展望が見えなくなってやめてしまう。信用金庫は地域の協同組織金融機関としての理念を掲げているが、実際にはそれとかけ離れてしまうと訴えました。 浦上議長は、要員が不足する中でお客さんに説明しなければならないことが多岐にわたる結果、不十分な説明となりお客さんのためにならなくなってしまう。経営は中期経営計画などで、システム開発を前提に要員を3年間でこれだけ減らすという目標を立てるが、システム開発が間に合わないなかでも、要員だけは計画通り減らしていくとの問題意識を伝えました。
 要請参加者からはもっと大きな視点で地域経済全体をどうしていくか、地域の経済の活性化や発展をどう進めるか、地域で銀行の店舗やATM配置はどうあるべきかの観点を顧客本位の営業に欠かすべきではない。地域金融機関が生き残らないと地域経済に支障が出るというが、働く立場からは地域から金融窓口がなくなり、そんな金融機関だけが生き残ってどうするのかという声が出ていると訴えました。
 これに対して、金融庁の地域金融担当者は、融資先など事業者の方への配慮も含めていくことも重要で、地域金融機関の経営理念や地域でどのように営業していくのか、事業者の利便性を含めて検討していくべきだと回答しました。
 浦上議長が、以前の要請で金融の窓口がなくなると問いただした時、「今はネットバンキングも進んでいる」と説明された。過疎地ではネットバンキングを使える人は少ない。そこで地域から金融窓口がなくなってしまうのは問題で、それは地域経済の衰退を進めてしまうという視点が必要と訴えました。
 これに対して金融庁は、過疎地になるとご高齢の方が多く、窓口がなくなるとかATMが撤去されるのは利便性に関わるというご指摘は受け止めていきたいと回答しました。
 最後に浦上議長は、「金融機関は社会的に求められる責任が大きい。若い人たちはそれぞれに思いを持って金融の職場に入ってくる。そこに働く労働者が誇りと働きがいを失って退職していくのは非常に残念なことです。モニタリングの際は職場のそういう声を聞き取り実態を十分認識したうえで監督していただきたい」と訴えました。



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