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○農協再編の中 合併前労組を維持し成果 【全農協労連】

統一交渉と合わせて個別単組でも協約

 全農協労連は機関紙「全農協労連」2024年の新年号で「労働組合だけが持つパワー活かして団体交渉で切りひらこう」をテーマに、経営者との交渉に奮闘している単組の活動を紹介しています。
 その紹介記事の中から、農協合併・組織再編に伴って複雑化する労使関係のなかで団体交渉を継続し、奮闘してきた北海道農協労連・宗谷地区共済労組の現委員長、前委員長へのインタビュー記事を紹介します。
 北海道の農業共済組合は、2017年に組織が合併・集約され、5共済組合と連合会の体制に移行し、2022年4月1日に全道一つの組織になりました。宗谷地区共済労組は、2017年の合併共済組合の一つである合併北海道中央共済組合(NOSAI道央)への合併時に、労働組合の組織が一つになれず、一度は「解散」することも論議されました。
 しかし、宗谷地区の賃金が高かったことから、NOSAI道央への合併時に当初提示された条件では生涯賃金が減少することや、先輩が勝ち取ってきた労働協約を無くしてはいけないとして、宗谷共済労組としての組織を継続し、労働協約も承継しました。



先輩役員とともに若手組合役員も参加

 当時、執行部が半分入れ替わり、現委員長、前委員長など若手の労組役員が先輩役員とともに奮闘し、宗谷地区の労組員は30~40人と少数でしたが、宗谷地区共済労組として団体交渉を行い、合併の際の労働条件引き下げをカバーする特別地域手当や人間ドック対象年齢拡充なども勝ち取ってきました。
 2022年のNOSAI道央への全道合併にあたって、北海道農協労連は農業共済部会として7項目の要求で統一交渉を行いました。宗谷地区共済労組も団体交渉に参加し、経営者が当初提案した就業時間を短縮させるなど、交渉の場で一定の前進をつくってきましたが、協約については統一での締結を忌避して「個別の単組」で行うとされ、統一交渉と合わせて各単組での団体交渉と協約締結が求められました。



地域の農家理事も団交に

 宗谷地区共済労組は、統一交渉の後に当時の経営者と団体交渉を実施。当初のらりくらりの態度で、参事も個人の立場で発言し、労組の要求を合併設立委員会へ伝えないという不誠実な対応でした。前委員長は「経営者が合併や労使ルールについて何も分かっておらず、労組が交渉しなければ不利益な労働条件が知らない間に決まっていたかもしれない」と振り返ります。労組は協約の一方的な破棄はできないこと、もしも団体交渉で要求に応えなければ、これまでの労働協約をそのまま合併組合でも維持することを通告し、合併一週間前の交渉で、さらに地域の農家理事も団体交渉に参加してもらいました。
 その結果、前進回答を得て協約を締結。これまでの協約は一旦破棄する代わりに、人間ドックのオプション助成や、合併で休日出勤が振替休日とされることについて、その差額に見合うような保障を技術職(獣医)に限り一定年数支払わせること、公宅設備改善などを確認し、妥結の覚書も取りかわしました。現委員長は「合併間際の交渉だったけれど、労組の強い姿勢で理事の賛同も得て合意できました」と改めて団体交渉の必要性を強調しました。
 協約の適用範囲は全道合併前の宗谷地区共済労組の労組員だった人に限られますが、合併しても少数労組の独自協約を活かしています。引き継いできた労働協約を活かして団体交渉を行ってきたからこそ、合併・再編のなかでも単組の要求を実現しています。(「全農協労連」No1316 2024年1月1日号から)



三菱UFJ銀行関連会社から組合加入 金融ユニオン

 三菱UFJ銀行の関連会社MUセンターサーピス東京の契約社員Sさんは、上司が現場の声に耳を傾けない職場で、同僚と職場改善に向けて発言してきました。そのSさんに対して、会社は9月1日付で別部門への係替えを発令。係替えの十分な説明もなくSさんは「モノをいう労働者に対する報復人事ではないか」と金融ユニオンに相談し、9月15日に金融ユニオンに加入しました。金融ユニオンは新人事制度の協議とあわせて団体交渉を申し入れましたが、人事部の団交担当者は「銀行の従業員でないSさんが人事制度協議に参加するのは困る」と回答。組合は金融ユニオンの前身銀産労結成(1991年)以来の労使確認事項=「団体交渉のメンバーは、組合は組合で、会社は会社で必要と考えるメンバーの出席を認め合う」ことの再確認を求めSさんの同席を要求しました。
 11月10日の第1回目の団体交渉にはSさん、金融労連中島委員長、金融ユニオン田畑書記長と三菱UFJ銀行の従来の団交メンバーが参加しました。団交でSさんの問題は、職場上司のコミュニケーション不足から、係替え後の職場でSさんが心の病で通院せざるを得なくなったことに、会社から対応の不十分さの反省が示されました。
 ところが、12月22日の第2回目の団交で銀行はSさんに対して会社の対応が丁寧ではなかったが、会社の人事発令は変更できないとの姿勢でした。金融ユニオンは銀行の「人事権は絶対」の姿勢を批判し、弱い立場の労働者が勇気をもって実態の解明を求めている労働者の係替え前の職場への復帰を求めていくとしています。(「金融ユニオン」No160、161から)



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