金融共闘

トップページ » ニュース一覧 »全国金融共闘が金融庁へ要請行動

○全国金融共闘が金融庁へ要請行動

 全国金融共闘は4月19日、金融共闘統一行動に取り組み、金融庁への要請を行いました。要請では事前に金融庁へ要請書を提出。金融行政の矛盾、問題点を分析し以下の要請をしていました。

  • ・金融業界は自由化・規制緩和路線の結果社会的役割を果たせていない。
  • ・マイナス金利政策や長期化するコロナ禍によって、各金融機関は本業以外に収益を求め金融機関本来の役割が軽視される状況になっている。
  • ・各金融機関はテレワークをすすめているが、コミュニケーション不足など、個々人へ様々な負荷がかかっている。以上3点について金融庁の見解を明らかにすること。
  • ・金融商品販売について、説明義務及び適合性原則の遵守状況を調べ、信用失墜につながるノルマ的販売を行わないよう指導すること。
  • ・次のような金融商品の販売実態の改善指導を行うこと。
  •  ①投資信託・保険商品の販売にあたっては、手数料率の高い商品販売に偏重することなく、顧客の商品選択の自由を保障すること。
  •  ②費者ローン・カードローンの販売にあたっては、適用金利・保証会社・保証料率を明示し、顧客の了解のもとで融資を行うこと。
  •  ③カードローンの審査にあたっては、貸金業法の「総量規制」に準じた規制を行うこと。
  •  ④各種手数料の引き上げ又は新設は、「顧客本位」とは程遠い手数料設定を行わないよう各金融機関へ指導すること。

全国金融共闘の金融庁への要請書参照



収益最優先の経営が顧客本位といえるのか

 以上の要請について金融庁から以下のように回答。
 地域金融機関の経営環境が厳しいことは承知している。当庁として地域金融機関はその地域の経済拡大の要であり、地域企業に対して資金供給にとどまらないアドバイス等を通じて地域企業の企業価値向上、生産性の向上に寄与していただくことが重要であると考えている。テレワーク等の在宅勤務の実施にあたっては、適切な整備を行うことが適切な成長に資すると考えている。
 金融機関が金融商品のノルマ販売を行わないことはもとより、顧客の最大の利益を追求することが重要と考えている。このような観点からのモニタリングにおいて説明義務や適合性原則の重視を求めている。顧客本位の業務運営の原則において、従業員に対する適切な動機付けの構築を掲げ、金融機関がリスク性金融商品を販売手数料の高い商品販売に偏重することがないようにすること。顧客ニーズを踏まえて最善の利益を追求するよう行動することが重要と考えている。
 消費者ローン、カードローンの貸付を行う場合には、監督指針等において、改正貸金業法の趣旨を踏まえた審査体制等の構築、過剰な借り入れとならない審査体制が構築されているかを着眼点としている。体制に問題がある場合には、銀行法第24条に基づき報告を求め重大な問題が認められる場合には業務改善命令を発出することもある。

 回答を受けた後に金融共闘の浦上議長が以下のように職場の実態を訴えました。
 地域の金融は地域経済の要だとの回答でしたが、地域金融機関の職場では店舗がどんどん統合されていき、一つの支店の中に、近隣にあった三つ、四つの支店が名前だけ入っているところもある。例えて言えば日比谷支店、渋谷支店、池袋支店が一つの支店の建物に入っているというようなところも出てきている。そうすると例えば池袋という街に有った支店が池袋にはなくなって、窓口に行くために電車に乗って行かなくちゃいけなくなる。こういうことで本当に利用者利便なのかということです。その根本には経費率を下げる政策がある。行政がそういう部分をどう見ているのか。あまりにも部署を削りすぎているのではないか。
 また、銀行に限らないが、金融機関全体で職場に人が足りないというのが合言葉のようになってしまっているように、各金融機関が人員をどんどん減らしている。
 支店の統合・削減がお客様の利便に繋がっていないし、従業員にとっては過剰労働になっているので、私たちたちが考えている金融機関の役割を果たす仕事ができなくなっている。
 そういう実態を金融庁は把握できているのか。例えば損害保険会社は中期経営計画とかを立て人員を削減する計画を進める。システム化、デジタル化を推進することで人数を減らせるという計画だが、実態はそうなっていない。計画通り従業員は減らすが、システムの推進は後回しというのが実態です。そういう今の金融機関の実態を金融庁はどう考えるのか。



従業員は社会的役割を果たすことを望んでいる

 また、今、中途退職者がどんどん増えている。入社した時にはこういう社会的な役割を持った企業とか業界だと思って入っても、実際の仕事がそういう仕事と思えなかったり、教わろうとしても、先輩たちは忙し過ぎて聞くに聞けないで悩んでしまって、精神的に追い込まれてやめてしまう。特に若手の方です。これは経営者が収益のみを求める政策の具体化によって職場の働きがいや魅力がなくなった結果ではないか。金融業界に働いている我々は、この業界を良い業界だと思って働きたいのだけれども、そうなっていないと職場の実態を訴えました。
 金融労連は金融の職場の育児時短勤務制度について現在は三歳までが基本とされるが、企業によっては小学校に入るまで、あるいは小学校六年までとさまざまになっていると指摘。せめて小学校三年生まで金融庁の方から足並みがそろうようにご協力いただきたいと訴えました。さらに、育児関連として12月30日の休日化についても「子どもを保育園に入れている人は、12月29日、30日に普段と違う保育園に子供を預けなくてならない。保育料がかかりますし、子供も普段と違う保育園に行かなければいけません。初めて会う先生やお友達と過ごすわけですから、とてもストレスを感じると思います」と、12月30日休日化に向けて金融庁の働きかけを訴えました。




【金融共闘意思統一集会単産報告全文をアップしました】

 全国金融共闘は4月19日開催の統一行動意思統一集会で加盟金融単産からそれぞれの春闘の取り組みと、各業態の実態の報告を受けました。概要は当ホームページで紹介済ですが各単産からの報告全文を「資料室」にアップしました。(意思統一集会単産報告

このページのトップへ