中小企業庁への要請を行った全信保労連の要請団
4月19日に取り組まれた金融共闘統一行動に連携して、全国信用保証協会労働組合連合会(全信保労連)は、中小企業庁への要請行動を行いました。要請は以下のように、事前に提出した要請書に基づいて項目ごとに全信保労連が要請を行い、中小企業庁が回答しました。
全信保労連は、中小企業・小規模事業者の経営環境は不安定な状況が続いていることを指摘し、中小企業者等への資金繰り支援について必要充分な財政措置を要請。また、アフターコロナ後の激変緩和措置で経営の建て直しに猶予を与える一方で、税・社会保険料の取立てが厳しくなる懸念を指摘。税や社会保険料の差し押さえによる倒産への対応で省庁間の調整、働きかけを要請しました。
これに対して、中小企業庁は3月発表の再生支援の総合的対策の中で、資金繰り支援を6月末まで延長を決定したことなどを説明。信用保証協会を含む信用補完制度が持続的に取り組みできるように予算も含めて適切な措置を講じていきたいと答えました。
全信保労連は、現在、信用保証協会が専門家派遣事業等のプッシュ型支援に注力していることを説明し、経営支援業務を継続して行く予算措置を働きかけることを要請。また各信用保証協会が、定量的な指標・目標値を定め経営支援の効果検証に着手しているが、経営支援を定量的に評価することは難しい側面もあることの理解を求めました。
中小企業庁は信用保証協会が、専門家派遣と経営支援に取り組んでいることを評価し、「こうした取り組みを促進するために、補助金の予算措置をし、令和六年度も14億円確保した」と述べ最適な経営支援に取り組んでいただきたいと回答。
全信保労連は、廃業や倒産件数の増加が顕在化し、今後、これまで以上に経営改善、再生支援、廃業支援が加速し、求償権放棄や求償権消滅保証等の抜本的な金融支援の必要性が増して行く可能性を指摘し、そうした点を踏まえ信用保証協会に期待される役割について中小企業庁の説明を求めました。
これに対して中小企業庁は、コロナ禍や物価高の影響で債務増加に苦しむ中小企業が増大する事態を踏まえ、中小企業活性化協議会と金融機関などと連携をして経営改善・再生支援をしていただきたいと回答しました。
全信保労連は、信用保証協会が経営者保証を徴求しない保証対応を進め、新たに創設された事業者選択型経営者保証非提供制度等を推進していることを説明。信用保証協会、政府系金融機関、民間金融機関は経営者保証に依存しない新規融資の割合を公表しているが、保証協会が経営者保証非徴求を促しても、金融機関によっては経営者保証非徴求に応じないケースがあるとの現場からの訴えも紹介し、単純な数値のみでの比較議論とならないよう関係各所への周知を要請。
中小企業庁は、経営者保証に依存しない融資慣行確立については各機関ごとの利用事業者が同じでないこと、利用層が違うことも踏まえて、数値だけの議論とならないように配慮したいと回答しました。
全信保労連は、天下り人事の抑制が制度の健全な運営に不可欠であり、信用保証協会役員への地方公共団体関係者の選任は、最小限にとどめ特に常勤役員は半数以内にとどめ透明性を担保するのが望ましいと訴え、中小企業庁は、地方自治体からの理事は、透明性の高い人事でなければならず適切に管理をしていきたいと回答。
全信保労連は、経営改善、事業再建支援等の強化、経営者保証に依存しない融資慣行の確立、保証申し込み手続きの電子化促進など、めまぐるしく変化している信用保証協会の現場で働く組合員は、中小企業金融政策の重要な一翼を担っている使命感を持ち、中小企業者等に必要とされる存在となるべく日々努力していると訴え、信用保証協会の位置づけ、期待される役割についての見解を質しました。
中小企業庁は、信用保証会が中小企業・小規模事業者を支えるという存在として重要で、我が国中小企業小規模事業者にとってなくてはならない存在だと回答しました。
要請の最後に全信保労連の勝然諒平中央執行委員長があいさつをして終了しました。