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○米価高騰・備蓄米放出で農水省へ要請 【全農協労連他】

農水省に要請する要請団

農水省に要請する要請団

 6月10日、全農協労連の加盟する食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)は、米価高騰、備蓄米放出などの問題で農林水産省へ要請を行いました。要請には食健連に結集する、農民連(農民運動全国連合会)、新日本婦人の会、全農協労連、全労連が参加しました。



備蓄米放出は問題を解決しない

 要請は、全農協労連舘野書記長の進行で進められ、冒頭、食健連の信川代表幹事(全農協労連委員長)が「米価の高騰に備蓄米で対応されているが、これが秋になってどうなっていくか懸念されます。生産者の立場からも消費者の立場からも安定して食糧供給できる体制をつくっていただきたい」と趣旨を説明。
 食健連と新婦人からの小泉農水大臣宛の要請書を手渡し、回答を受けました。要請書では米の供給量の不足と米価の高止まりに、政府備蓄米を放出して対応したが、問題は解決していないと指摘。米の販売価格を5キロ2000円とするとして競争入札を中止して随意契約で放出しているが、これは一時的・部分的な価格調整にすぎず、安定した価格・供給の解決にならないと批判。根本的な解決は、ゆとりのある計画を立て米の生産量を増やすとともに、家族農業経営はじめ農業経営者の営農と暮らしを安定させることが必要であり、そのことで価格も安定すると訴えていました。
 回答の中で農水省は、現在は減反政策を継続しているわけではなく米の生産量は生産者の判断で行われているとし、要請書で米の増産を求めていることに対しては、4月に閣議決定された計画で米の生産量を2023年の791万トンから2030年には818万トンに増産するとし、中長期計画で農地の基盤強化、スマート農業技術の導入などで生産性の向上をはかっていくと説明。


備蓄米活用に応じてこなかった農水省

 昨年12月に食健連が農水省要請をした際、米は不足していると訴えてきましたが農水省は不足していないと説明してきました。舘野書記長は「昨年秋の段階から指摘し、備蓄米の活用も要請してきた。その要請に対して昨年秋の段階でも『米はあるのだ』と説明し、備蓄米の活用は検討もされなかった。米があるというのならどこにどれだけあるのかとただしたところ調査するという回答だった」と追及しました( 関連記事「24年秋のグリーンウエーブ行動に参加」)。
 これに農水省は以下のように説明。2024年米は生産段階で前年比18万トン増だったが集荷段階が例年と違ってメインとなる全農(全国農業協同組合連合会)や全集連(全国主食集荷協同組合連合会)による集荷がマイナス31万トンになり、その分がほかの業者のところに行ってしまって過剰な集荷競争となっているのではないか。そのために前大臣の時に31万トン備蓄米を出すことにしたが価格は下がらなかったので、買い戻し条件付きの随意契約で出している。
 この説明を受けて舘野書記長は「米は気候変動などの影響を受けて増減する。それを見込んで需要にどう適応するか、今後どうなるのか危惧している農家も多い。25年産米の備蓄米契約は業界紙では原則中止だと書かれているがどうなるのか。24年米の説明では生産段階では増産だが集荷競争で値段が下がらず備蓄米を放出したということだが、今後価格の暴落も含めてどうなるか懸念される。この間、農業生産者の所得を時間給に換算すると時給10円になってしまうと指摘し、農業生産者の所得を生活できるものにしなければならないと訴えてきた。米価の変動でそこに戻ってしまうのではないか危惧される。備蓄米を活用し価格を安定させ、国民の食糧を保障するためにも備蓄米を増やすことを要請する」と訴えました。


生産農家に所得補償を 消費者には安定した価格と供給を

 新日本婦人の会の浅井中央常任委員は、オンラインアンケートで4422人から回答が寄せられたと紹介。圧倒的多数が「国産米を食べ続けたい、アメリカ産米は増やさなくてもいい」「国は農家に所得補償をしてほしい」「米増産への政策転換を発表し農家の生産意欲を促すべき」「農家が米を作って食べていけるシステムを国が責任をもって作ってほしい」など消費者の声を紹介し「生産者対消費者の対立するとらえ方ではなく、生産者には価格保障や所得の保障を行って持続可能にし、消費者には購入できる価格で安定的に供給することが求められている」と訴えました。


零細・小規模農家を支える政策を

 全農協労連の宮﨑さんは「従来の米価では、生産農家の所得が時給10円になってしまう。食糧生産をめぐって生産者と消費者のどちらかが我慢するのは限界だと明らかになった。大規模化して生産性を上げるというが、大規模農家が減っている。営農組合を作って維持しているところもあるけれど、解散を余儀なくされたり、一人がダメになると全体がダメになるところもある。時給10円、時給100円でなんとかやってきたというのが実感です。安定して生産を確保するためには、生産者が生活できることが必要なのです。そういう政策を出してください。米が足りているのかどうかが問題となっていますが、そもそもの生産基盤が少なくなっていることが明らかだ。今頑張っている生産者を支えなければ、米が足りているかいないかという議論が成り立たない。圧倒的に数の多い零細・小規模農家を支えていく政策が必要だ」と訴えました。

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