金融労連第20回定期全国大会
9月20日~21日、金融労連は東京都千代田区で第20回定期全国大会を開催し、2026年度運動方針を決定しました。大会では、中島康隆委員長が以下のようにあいさつしました。
中島委員長はあいさつの冒頭、金融労組を長年支えられた上條貞夫弁護士(東京法律事務所)が逝去されたことを紹介し追悼しました。そして、イスラエルによるガザ攻撃、ウクライナに対するロシアの侵攻に触れて、戦争・侵略を許さない声を上げていきたいと表明。金融情勢については、中小企業政策の潮目が変わりつつあるのではないかと指摘し、経営者保証や不動産担保に依存せず、企業の事業性価値や事業の将来性に基づく融資を推進する「事業性融資の推進に関する法律」が制定されたことを指摘。中小零細企業を支援する良い法律に見えるが専門家の間ではメリット・デメリットなど議論があり、金融労連としても問題点があれば金融庁に指摘し、改善を求めていきたいと述べました。
さらに、「2025年度金融行政方針」で「地域金融力強化プラン」を年内に策定するとされ、金融機能強化法の公的資金注入制度延長がいわれ、地域金融機関の再編が促進される懸念があるとし、金融労連は安易な再編・統合を認めない方針を確認して金融庁に要請していきたいと訴えました。
また最低賃金の引き上げについて、7月の参議院選挙でほとんどの政党が最低賃金時給1500円を掲げた。だが、最低賃金の引き上げは金融労連の加盟する全労連が早くから掲げて粘り強く訴えてきた結果前進してきた。要求実現に向けて要請し続けることが情勢を動かすことに確信を持とうと訴えました。
全労連の秋山正臣議長が来賓としてあいさつし、中島委員長のあいさつに重ねて、今、戦争をさせない平和を求める声を上げることが重要になっていると訴えました。そしてトランプ関税の影響もあり経済が悪くなっているとし、特に悪くなっているのが国民の生活で、税や社会保障の負担は増える一方だと述べ、新自由主義経済政策を見直すことが必要だと強調。「全労連は『公共の再生』を打ち出しているが、自然災害に備えるためにも公共の再生が求められる」と訴えました。
そして、来年には労働基準法の改正が予定されているとし、労使で合意すると労働基準法の最低基準を下回る働かせ方が許される改悪が考えられている。裁量労働制の拡大も狙われているので金融機関でも労働時間の管理がされなくなると警告し、そういうことをさせない取り組みをしていきたいと表明しました。
全国金融共闘の浦上義人議長(全損保委員長)は、金融労連が労働者への攻撃に対するたたかいを前進させ、個人加盟の金融ユニオンが銀行・信金に限らず幅広い仲間を迎えて運動を広げ、さらに、産別労組として金融庁や業界団体に要請を繰り返し取り組んできたことに敬意を表明しました。そして、国会で与党が過半数割れとなった今こそ国民・労働者が立ち上がり平和と民主主義が守られ、幸せに暮らせる国にするためにあらゆる共闘を広げてたたかう情勢となっていると訴えました。
金融については、地域金融機関の再編が進められ、公務公共サービスの肩代わりと成長戦略への貢献が求められ、実体経済を支える金融機関の社会的役割が喪失させられていると批判。大手金融機関は海外でのM&Aを進め、国内ではAIの活用などで業務の効率化に走り、中小金融機関は店舗の再編・統合、ATMの集約を進めお客様不在の経営となっている。このように金融機関経営がすすめる政策は、金融機関に働く仲間の生活や雇用、労働条件に大きなゆがみをもたらし、働き甲斐の喪失と将来不安を高めていると指摘し、「今こそ金融労働者が団結し声を出しこの国の金融の在り方変えていこう」と呼びかけました。
田村智子衆議院議員(日本共産党)秘書の村高芳樹氏は衆・参議院選挙で国会の情勢が変わったと説明し、金融行政は金融リスク商品の販売など、本来の業務以外の推進を推し進めてきたと批判。中島委員長が触れた地域金融力強化プランは、結局は銀行の統廃合や人員削減となる。地域金融機関に最も求められるのは地域経済を支える地域金融力ですとし、地域経済を守るための地域金融について国会でも議員を先頭に議論を進めていきますとあいさつしました。
「2026年度運動方針」を上田直也書記長が提案しました。提案の中で上田書記長は、2025年5月の実質賃金が前年同月比-2.9%だったとし、トランプ関税の影響もあり物価高騰が続くことも考えられ、持続的な賃上げの取り組みが必要と提起。金融をめぐる動きについては三菱UFJ銀行の行員が貸金庫で金品を盗み、いわき信用組合の不正融資など金融機関のガバナンスが問われる事件が相次ぎ、労働組合が経営のチェック機能を果たしていくことが求められるとしました。また、地方銀行の合併の動きに触れて、リテール戦略の見直しと新たな店舗戦略が出される可能性を指摘し、安定的な地域金融機能を発揮していくことが求められると訴えました。大会2日目ですべての議案が可決され、2026年度役員体制が確立されました。
2026年度 金融労連役員
| 中央執行委員長 | 中島 康隆 | 滋賀銀行従組 |
| 中央副執行委員長 | 佐藤 一枝 | 北海道金融労組 |
| 中央副執行委員長 | 倉澤 友輔 | さわやか信金従組 |
| 中央副執行委員長 | 長谷川 清志 | 米子信金従組 |
| 書記長 | 上田 直也 | 神奈川銀行従組 |
| 書記次長 | 笹本 健治 | 本部書記局 |