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○24年秋のグリーンウェーブ集結行動に参加【全農協労連】

『米不足』から持続可能な食と社会を考えるシンポジウム

『米不足』から持続可能な食と社会を考えるシンポジウム


「令和の米騒動」はなぜ起きた

 全農協労連の加盟する「国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)」は、12月18日「秋のグリーンウェーブ行動」の各地の行動の結節点として、中央集結行動をおこない、農林水産省への要請やシンポジウムを実施しました。
 今年はコメ不足という状況のもとで、食料・農業に対する関心が広がり、食料自給率の向上や安全安心な国産食料の増産などの要求が広がりました。しかし、生産者の段階では、新自由主義農政のもとで、資材の高騰、後継者不足や担い手不足が障害となっています。国民的な要求を実現するうえで農業生産者の価格保障や所得補償など再生産可能な農業を実現できる政策が求められています。


農林水産省への要請

 農林水産省への要請は午後1時から衆議院第2議員会館で行われました。冒頭、全国食健連代表幹事の信川幸之助さん(全農協労連委員長)が主催者あいさつを行い、事前に提出した要請の要旨=①食料を国内で増産し、自給率を向上させるため、食料・農業・農村基本法の「基本計画」に食料自給率目標と達成するための計画を明記すること、②主食の米について、政府が需給に責任を持ち、増産に向けた計画を明記すること、③米・麦・大豆・飼料穀物などについて、備蓄を増やし基本計画の生産目標に備蓄増加分を追加すること、などを説明し農林水産省の回答を求めました。
 農水省の回答は、要請項目ごとに担当部署から説明が行われましたが、全体として制度の説明に終始し、要請に同席した紙智子参議院議員(日本共産党)は「ここに参加した皆さんは制度の説明を聞きたいのではなく、どうして今回のような事態が起きたのか、来年はどうなるのか、大丈夫なのかを説明してほしいとのです」と現実に生じている問題への実際的な回答を促しました。
 農水省は回答の中で米の生産について「生産数量目標の配分を行っている」と説明し、「農業者の経営判断による生産を基本として、これを着実に進めることを基本としている」「農林水産省としては自ら販路を開拓する農業者や産地の意思決定に資するようきめ細かい情報提供、作物転換の支援を行っている」「米の国内需要が減少している中で農業者、生産地が販売状況をふまえた生産を行うことが大変重要」と説明しました。


米の需給は国が責任を持つべき

 これに対して山形県からの参加者は「『生産の目安』について、生産農家が判断して作付けを決めているという説明だが、実際には『生産の目安』に協力しないと、希望する種子が買えないとか補助金の対象にならないとかがあるので、ほとんどの農家が『生産の目安』に協力しているのが実態だ」と指摘。さらに「政府が出している『生産の目安』はコメの生産の規制に近いものになっている」と指摘し「食料の生産の目安は余裕をもって考慮し、コメが余って米価が暴落するような場合には追加で米を買い入れて備蓄に回し、今回のようなときに余裕をもって放出したなら米騒動にはならなかったのではないか」と追及しました。
 さらに、千葉県からの参加者は「米の需給は国が責任を持つべき」と発言し「市場原理で野放しにするからこういうことになってしまう。生産者は非常に高い価格を期待しているわけではない。安定して、安心して営農できることを望んでいるのに、それができないことが問題だ」と指摘。「一俵が9000円になってしまったり、今は業者間で3万円を超えている。これは市場に出た後の価格で農家の手取りになっているわけではないが価格が乱高下している。こういう状態では今後どれだけの人が米作りに取り組んでくれるか非常に不安だ」と訴えました。
 そうして、『生産の目安』についても、「『目安』と言って生産者に責任を負わせるのではなく、国として今回の状況を受けて政策を立ててほしい。備蓄についても1ヶ月程度の備蓄では効果がないのではないか。麦は3ヶ月の備蓄だと言うけれど、備蓄も含めて今までの政策をしっかり見直して組み立ててほしい」と要請しました。
 1時間を超えた要請では、「令和の米騒動」=米が品不足となり価格が高騰した問題を中心に、酪農家が飼料や資材の高騰で経営難に追い込まれ急激に減少している問題、耕作放棄地の広がりで里山が荒廃し鳥獣被害が拡大している(自治体によっては年間3000頭の鹿、2900頭のイノシシの捕獲を余儀なくされている)ことへの対応など、今日の農政が食料自給率を危機的に押し下げ地方の荒廃を招いていることが明らかにされました。


食料自給率を向上させる農業政策を

 午後3時からは、東京千代田区の全労連会館で「『米不足』から持続可能な食と社会を考えるシンポジウム」を開催。シンポジウムでは「視点」として「『米』」から考える日本の食料自給問題」をテーマに岡山大学の小松泰信名誉教授が講演し、主食の米の供給確保の重要性を強調し、水田耕作が地域の環境保全に重要な役割を果たしていることを説明。行政はJA大会の議案書を事前にチェックし、食料自給率の低下の記述を削除させているなど、現在の農政の下では食料自給率の回復が危ぶまれることを訴えました。
 小松名誉教授の講演の後、東都生協の野地浩和専務理事、主婦連合会の平野祐子常任幹事、農民運動全国連合会の小倉毅副会長、全農協労連・山形県農協労庄内たがわ分会の菅原剛分会長がそれぞれの立場から発言し議論を交わしました。

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