昼休み財務省前抗議行動
4月19日、全国金融共闘の統一行動(金融共闘統一行動)と同時に国公労連など公務労働者と金融労働者による「国民のための財務・金融行政を求める2019年共同行動」(財務金融共同行動)が取り組まれました。全国金融共闘との共催で開催した昼休みの財務省前抗議行動に先がけて、午前中には財務金融共同行動として財務省、金融庁、日銀、全銀協への要請が行われました。
日銀への要請には、金融労連から中島委員長が参加しました。要請では①マイナス金利と量的緩和の現在の金融政策は、効果が乏しく弊害が目立つ。金融機能回復に向けた出口戦略を提示し取り組むこと、②日銀によるマイナス金利などマクロ金融政策が地域金融機関の経営を困難にし、金融庁による合併・再編政策を強める結果となっている。しかし、地域に密着した金融は地域経済に不可欠であり、日銀と金融庁は連携して合併・再編によらない地域金融機能強化への政策を展望すべき、③日銀による量的緩和政策で、マネタリーベースが拡大しGDPを超えて、事実上の財政ファイナンス状態となっている。量的緩和政策を転換し、日銀の国債残高を縮小する出口戦略を示すこと、などを求めていました。
以上の要請に対して日銀は以下のように回答しました。
①に対しては、物価目標の実現にはまだ時間を要する。出口戦略は重要だが具体的に検討する段階ではない。②の金融政策の金融機関経営への影響については、4月の「金融システムレポート」でも公表したが、金融機関の収益レベルは高く金融システムは安定している。しかし、人口や企業数の減少、低金利の長期化でコア業務純益が低下していることを課題として認識している。③については、財政ファイナンスと指摘されているが、日銀の長期国債買い入れは物価目標を実現するための金融政策であり、財政赤字を埋めるための国債引き受け=財政ファイナンスとは異なる。国債の買い入れを財政ファイナンスだとする議論を引き起こさないためにも政府が財政健全化を進めるべきだ。
日銀の回答に対して、地域金融政策の専門家として要請に同席した静岡大学の鳥畑与一教授が、マイナス金利政策について、金利が下がりすぎると利ザヤが縮小し、金融機関の貸し出しが抑制され、金融政策が有効性を失うなどの議論をあげて「日本銀行の本来の使命である金融システムを守るということと矛盾する状態を引き起こしているのではないか」と質しました。金融労連の中島委員長は、金融庁が「本業が赤字であれば業務改善命令も辞さない」としながら、従来は本業に組み込んでいた有価証券運用益を突然本業に組み込まなくするなど、金融機関経営者も先の見えない状況になっている。現場の労働者は貸出しを増やそうと努力しているが、何のために貸出しを増やすのかという虚無感にもつながっていると現場で働く労働者の実態を訴えました。
これを受けて鳥畑教授は、日銀の金融システムレポートにも触れて「日銀はかなり意図的に合併を通じた再編を誘導しているように思う」とし「自らの金融政策の失敗を金融機関の再編淘汰という形で帳尻を合わせるのは、大きな間違いだと思う」と述べ「地方銀行の再編を進める金融庁に合わせるのではなく、経済・金融政策が効果を発揮でき、収益力が復活する成功事例を想定して頑張る地域金融機関を支えるスタンスが必要だ」と申し入れました。