コロナウイルス禍の下、結集が困難な中で金融労組は納得いく成果をめざして2021年春闘を奮闘しています。
全損保は、3月17日に開催した第83回定期全国大会で、組合員全ての力を結集して「賃金水準の引き上げ」をかちとる春闘とすることを確認し合い、春闘方針を確立しました。翌3月18日に各支部・独立分会は一斉に要求書を提出。これに対して、各経営はコロナ禍による経済停滞に危機感を示し、検討にあたっては中期経営計画の進捗、2020年度決算や次年度事業計画、今後の事業環境などをふまえることが大前提であるとしました(関連記事 全損保第83回定期全国大会)。
各支部・独立分会は生活の厳しさ、災害対応も含めた従業員の頑張り、コロナ禍での急激な働き方の変化に混乱し疲弊している組合員の声や思いを主張し、要求に沿った検討を求めて旺盛に交渉。経営側は、従業員の頑張りには理解を示しながら、損保ジャパン社、日新社で真摯に検討を尽くしたとは思えない早期の回答を示すなど、組合員の切実な要求に応えない姿勢でした。
全損保は、4月14日に感染防止対策を徹底し、ZOOM、YouTubeも活用して春闘決起中央集会を開催(関連記事 全損保4・14春闘決起中央集会)。コロナ禍で組合員が集まることに困難さをかかえながらも経営に要求実現を迫りました。5月13日の自主交渉打切日には、共栄支部、損保ジャパン支部、日新支部、セコム損保支部、共栄損調分会が納得のできる回答を引き出し、収拾に向かいました。一方、6支部1分会は自主交渉期間を延長し全損保スト権をバックに、職場の納得と合意をはかれる到達点を目指して奮闘しています(機関紙「全損保」5月25日号から)。
金融労連では、2021年春闘前段において、期末臨給では、東京東信金が0.1ヶ月(パート一律1万円)、飯能信金が0.1ヶ月、敦賀信金が0.3カ月の回答を引き出しています。興産信金ではコロナ特別慰労金として一律7万円(契約社員、嘱託・パート含む、派遣社員は商品券1万円分)、また東京東信金ではコロナ特別手当3万円(契約・パート1万円)を引き出しています。
春闘では、3月1日を統一要求日、3月10日を回答指定日としてたたかってきています。5月に入り回答が出始めましたが、ほとんどがベアゼロとなっています。夏期臨給も回答が出てきており、前年比同の回答が多いものの、6企業で前年比増の回答が出され、前年比減の回答はありません。しかし、2ヵ月を切っている企業が多く、生活向上には至っていません。
その中で、三菱UFJ銀行では7月から契約社員に子供手当を子供一人につきフルタイマー月5,000円、パートタイマー250円×月間勤務日数(有給休暇取得日数を含む)を支給する回答が出ています。敦賀信金では事業性融資担当者手当2万円が新設されました。またコロナワクチン接種にともなう休暇を特別休暇と認めたり、「勤務時間内に摂取する場合は勤務扱いとする。副反応で就業困難な場合は5日間を上限に特別休暇とする」(北洋銀行)などの動きが出ており「全体の動きにする必要があります」としています。
三井住友銀行では今年4月から定年が65歳に延長されました。金融労連は「今年4月から70歳までの就業確保措置が努力義務とされたことを受け、65歳以降の雇用について、具体的な条件が各企業で示されているが、より良い条件を求めていく必要があります」としています。(機関紙「金融労連」5月25日号から 一部補足)
全農協労連の機関紙「全農協労連」6月1日号は、京都丹の国農協労組と、青森県農協労組の取り組みを紹介しています。
京都丹の国農協労組では、今年の春闘で高卒・短大卒で5,000円、大卒で10,000円の初任給引き上げを実現しました。賃上げが波及するのは34歳までで、労働組合が課題にしている30~40代の賃金改善には不十分ですが、5年ほど前の初任給調整給実現以来の賃金改善で、退職金などにも反映する基本賃金の引き上げとして評価しています。今年の新入職員が女性のみで、男性の応募がなかったこともあり、経営側は新規採用対策として初任給引き上げを意識したようです。「労働組合の要求で引き上げたわけではない」と言っていますが、労働組合の粘り強い交渉の中で実現しました。しかし、事業推進における自爆契約を要因とする中途退職が増えているなど、賃金の改善だけではなく事業推進の見直しが必要で、労働組合は「引き続き粘り強く交渉していく」としています。
青森県農協労組は2020年秋期年末闘争においてコロナウイルス感染症拡大のため、執行委員会をはじめ県本部の活動が困難となりましたが、県本部書記局を中心に各分会のたたかいを励ましてきました。春闘本番を前に執行委員会を再開し、春闘の要求づくり・話し合いを土台にすえた組織強化、新採用・登用者全員の労働組合加入運動を各分会に提起しました。こうした提起に応え各分会では労組説明会(青森、ゆうき青森)や昼食時間を利用した説明会(津軽みらい)を実施してきました。コロナ禍にあって困難さはあるものの「引き続き組織の強化・拡大をめざすとともに次代の労組役員を育てていくために学習会活動の大切さを共有し広げていきたい」としています。(「全農協労連」6月1日号から)